昔話と、お伽話
違いが、わかる?
何か、知ってる?
イチゴ、セブンスター 7
ナミは今まで保健室に来た経験がなかったけれど、何故か先生の
顔は知っていた。大勢の中で何故か目に付く。
背の高さ
スタイルの良さ
目立つ理由はそれだけではない。はっきりとは感じ取れない“カリス
マ性”のようなものが彼女、ロビンにはあった。
そんな彼女が学校を去ったのは今年の3月。結婚を機に退職するの
だという。
今どき、結婚ぐらいで仕事を辞めるのも珍しい、と思ったが、式を挙げ
てすぐイタリアへ行くという理由でうなづけた。
それを知ったのは進級してしばらくしてから、だったけれど。
1年の終了式も2年の始業式も出席していないナミは、誰が居なくなり、
誰がやってきたのかもいまいち把握していなかった。その訳あって、今
の保健室を誰が管理しているのか、を知ったのはつい先刻のことだった。
何故突然、話したことも 近くで会ったことすら無いロビンの顔が頭に浮
かんだのか、ナミ自身にもわからなかった。
元の世界に引き戻されたのはサンジが最後の煙草に火を点け、久々に
言葉をもらしたときだった。
「自己紹介から始めよう。」
年季の入ったジッポを右手に持て余す。
「この前も言ったっけ?
おれはサンジ 3−H」
サンジはゆっくり話し始めた。
「煙草を始めたのは中2。色々むしゃくしゃしてた。」
ナミは、ざわめく木々たちでサンジの声を聞き漏らさぬよう、
一心に耳を澄ませた。
「色々試して、まあ大体好みも固まって、
それで決まってたのがマルボロ、ってやつ。」
サンジは少しこちらを向いて、手で煙草の箱型を示した。
彼の顔には少しの笑顔が見えたけれど、ナミの眼差しは真剣なまま
だった。
「1年の終了式の日、さ。サボってたんだよ、ここで。
そしたらさ、声をかけてきたひとが居たんだな、キミみたいに。窓の
上からさ。」
声のトーンが少し上がる。
「普通思わねェだろ。
教師がサボってるんだぜ、終了式。」
さっき、
ロビンの顔が頭に浮かんだのが
“女の勘”
なのだと、
したら。
サンジは話を続けた。
「当然煙草もバレた。不意打ちだった。
でも、校長に突き出すどころか笑ってるんだぜ?」
「まあ少しは疑ったけど、『こっちの方が美味しいわよ』なんて言わ
れたら拍子抜けもするわな。」
差し出された吸い掛けの箱
それが、セブンスター。
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皆さん、お気に入りの煙草はどうやって決めますか?
喫煙未経験の私には未知の世界、かも。
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