理由を、
おしえて。
教えないで。
イチゴ、セブンスター 3
良く良く考えて見れば、その男の名前すら聞いたことなかった。別に必要も無い。
そんなことを思っていたら2度も聞き逃してしまった。
金髪男とは校舎も違って、保健室以外で出くわすことも無かったが、なんとなく同じ
学年のような気がした。女子のリボンは学年で別れているけれど、男子の学年は
上履きの色とクラス章しかなくて、革靴にクラス章なんてつけていそうに無い制服
からは何年生かなんて分からない。かくいうナミも、リボンはつけていなかったけ
れど。
用事も無いし、特に会う理由も無い。
ぼんやり金色の髪と青い眼を思い出していたら、一週間が経っていた。
「課題のプリント、出しとけよ。」
帰り際、すれ違い様に担任にそう告げられた。
(そういえば出してないかも。)
やっていない訳じゃない。只、出すのが面倒臭かっただけ。
教室に戻って机に鞄を置き、プリントを探す。大して荷物の入っていない鞄の中から
プリントを探すのは容易で、それを職員室まで持っていこうと踵を返したとき。
名前も知らない
見覚えのある顔の男が。
ドアの近くにだらしなく立っていた。
「へェ、2−Fだったの。」
流石に校舎内では煙草を咥えていない。斜めかけの鞄を背負(しょ)って、
偉そうにクラス表札を見ている。
スカした男。
「何しに来たのよ。校舎が違うでしょう。」
何故だか分からない。
妙にイラついて
出しに行くつもりだったプリントを乱暴に鞄に仕舞った。
折角やった課題が、ぐしゃぐしゃ。
「訊きたいんだろ。
おれがマルボロを吸わない理由。」
訊きたい訳無いじゃない。
アンタの昔話なんて。
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9/23
連載モノはサクっと読みたいところ。
でも登場人物を増やしたいと思ったりもしてる今日この頃。
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