初めて会った日?


いつ、だっけ。






ちゃんと忘れてない。






ゴ、セブンスター 






その日は酷く頭が痛くて、あまり好きではない保健室に薬を貰いに行った。



ドアの外から見ても余り人気は感じられなかったがとりあえずドアを開けた。

案の定、誰もいない。

あるのは開いている窓とハタメクカーテンだけ。

まるで誰かがここから抜け出したような・・・


少しの好奇心から誰も居ない保健室に入る。

するとすぐに学校には似合わない匂い。


煙草の、香り。


まあ別にこの学校にそんな人が居ないと思っていた訳でも無い。自分自身が体験

したことは無いけれど、周りに吸っているという子も何人か居る。

別に吸っているのがイカツい不良とも限らないし、万一不良だったとしても大して怖

くない。どんな相手でもいい。少し、驚かせてみたくなって足を忍ばせた。

そっと窓から覗くと、微動もしない男が1人、校舎の壁に寄りかかって煙草を吸って

いるのが見えた。やけに肌の色が白くて、男には余り似合わない感じがした。黙って

いれば優等生なのに、金色の髪と立ち上る煙が綺麗な顔を台無しにしている気がす

る。まあ似合わない、とは言わないけど。


「こらッッ!」

「うおっ!?」


あまりに慌てるものだから、思わずふき出してしまった。

期待以上。

まだ長い煙草が足元に落ちた。驚いて思わず口から離してしまったのだろう。

「ッ・・・何すんだよ!」

「風紀委員として未成年の喫煙を阻止したまでです。」

「風紀・・?キミが?」

男はきょとんとした眼差しでナミの耳に光る幾つものピアスを見た。

「まあ冗談だけどね。センセイ知らない?」

意地悪そうに笑って、暫し忘れていた頭痛のことを思い出した。

「さァ・・・おれが来た時は既にいなかったけど。まあ居たら吸えねェしさ。」

左手で前髪をかき上げながらやっと安心したように息をついた。


(へえ、結構綺麗な眼ね・・・)


前髪から透ける青い眼を見てから、「ああコンタクトか」、と見破った。




「言わないで欲しい?」

窓枠に腰掛けながらナミが再び意地悪そうに笑った。

「何だそりゃ。取引?」

「そうかもね。」

頭に置いた手を更に掻き毟った。

「・・・何要求するの」

「うーん」と唸って考えた。別にこれといって要求したいものなどない。別に「取

引」なんて言葉の文、だった。

「何か持ってるもの、無いの。」

今度は金髪男が唸った。ポケットを探っている。  「お。」という声を共に、ポ

ケットから出た手に持っていたのは・・・




「飴だ。」


手には黄色とピンクの、2つの飴玉。



「要る?」

ニヤ、と笑って手を上に差し出す。

「飴ねえ・・・」

















キミが溜息を吐(つ)いたから



てっきり要らないかと 思ったんだ
















あの日もらった





ストロベリーキャンディー



















でも。





手に感じた意外な温もり。


頭の上から聞こえた意外な返事。






「もらっとく。

  煙草の件は見なかったことにしとくわ。」







イチゴの香りが残る

                               保健室。




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いちご100%ではない。(当たり前だ)

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