好きなわけじゃないよ。



不本意。







ゴ、セブンスター








わざわざ好き好んでここに居る訳じゃない。

他に特に行き場もない、ただそれだけのこと。学校に行く、学生にとっての本分。



ナミはチョコレートの箱をポケットに仕舞い、鞄を持って教室を飛び出した。


またいるのかな、あいつ。


階段を降り、1階の保健室の前に立った。

ドアを開けると、中には誰も居ない。

只、開け放した窓から入る微量の煙が風に乗って感じられる。

眉間に皺を寄せて窓の傍に近づいた。


鞄は入り口に置いたまま。


「不良。」



声をかけた主は多少どきりとし、ゆっくり上を見上げた。


髪の色からして、品行が良いとは感じられない。

眩しいほどの金髪。

溜息と一緒に灰色掛かった煙が浮き上がる。



「またキミか。」

咥えていた煙草をもみ消して、胸ポケットからまた新しい物を取り出す。

慣れた手つきが憎らしい。

「この前も思ったけど、よくこんな所で堂々と吸えるわね。見つからないの?」

「少なくとも停学を食らったことはねェなァ。」


さっきより煙がキツい。



喉が痛くなって、煙草を取り上げたら凄い権幕で此方を見られた。

「口寂しければこっちにしときなさい。」

ポケットから苺のパッケージのチョコレートを取り出した。

「チョコねえ・・・」

窓越しに投げてやると、彼はうまくキャッチして箱を色んな方向から眺めた。

「好きなの?イチゴ。」


「別に。」

それだけ答えてナミは身体の方向を変えた。窓枠に寄りかかる形に、なる。

「不本意よ。本当はオレンジの方がすきだもん。」

「でもオレンジとチョコの組み合わせが嫌いなだけ」、と答えて取り上げた煙草を少

し咥え、咽(むせ)た。


「アンタこそ、よくこんな苦いもの吸えるわね。」

「おれも本命はこれじゃなくてマルボロなの。」

金髪の男は大きく「7」と書いてある箱を出して見せた。

「・・・あんまり知らないわ。煙草の銘柄なんて。

        じゃあどうしてマルボロ買わないのよ。」


煙草を返しながら咳き込む。彼は待っていたかのようにまた煙草を咥えた。

「うーん・・・ナイショ。」

「あっそ。」

よくわからない、この男は。



それから暫く、

特に意味も無く十数分窓の外を眺めた。

苺チョコレートとセブン何とかの味が混ざって酷く気分が悪かった。















コイツと出会ったのは、2度目。




不本意なんかじゃ、ないよ。





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9/23
サンナミで学園物が書きたかったんで、す。(・・・)
私もよく分からない煙草の銘柄。


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