ねえ、おれのこと、壊して。


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ドクターは言った。

桜は咲くと。


人は救われると。









おれが救われないのは

やっぱり人じゃないからなの?




答えて、ドクター。

























あれから17年。


夢を手に入れたおれ達は、特に宛ても目標も無く、長い航海を続けていた。
 
きっと、旅が始まった日から終わりなんて決められていなかったんだ。

終わりをカウントダウンする必要も、




ない。



 
 
 
 
 
 
 



久々の雪も、大きな山から見下ろす街の絶景も、目の前の桜も。


全てがコマ送りに感じられて、

何だか生きた心地がしないんだ。


妙な胸騒ぎ。

その裏側の平穏。


雪の降る音なんて聞こえなくて、ましてやこの標高では鳥も飛んで来れない。

おれは今、1人。







独り。









雪の上に膝をついて、少し屈む。

慣れているはずの白い絨毯が、何だかいつもより冷たく感じられた。


そっと、

花を置いた。

包装紙の音だけが

胸に響く。


真っ白な上に鮮やかな花たち。ピンクのリボンをつけて、一緒に笑っているみたいだ。

その花に向かって少し微笑んでから、目の前の、雪より冷たい誓いの証を見上げた。







ハタメク海賊旗。

その手前に嫌というほどめだつ、

 
 
 
 

十字架。













少し、呆然とした。


自分の居ない間にこの石はすっかり傷だらけになっていて、短かった17年間の意外な重みを伝えていた。

もっと重いのは自分の気持ちだけれど。

海賊旗より後ろにもう1つ大きな存在があった。








1本の桜の木。








自分の尊敬する男が、夢を伝え、其れを遂行したのちに去ってしまったあと。

おれの知らないところでもう1つの奇跡が起きていた。


降り積もる桜色の雪はそのうち薄れてしまったみたいだけど、それより数年後に植えられた1本の桜の木が、

この寒さの中を生き抜いている。そして、その花びらは1年中散らなかった。自分の存在を主張するかのように、

燃えるような意志の強いピンク色を、今もドラムロックの上で輝かせている。

これが、ドクターの貫いた“信念”。









ねえ、そこに居るのなら答えて。




おれは何年も経った今でも、さみしいよ。

ドクターに会いたいよ。

どうしたらいい?


涙は流れなかった。

気持ちは目からなんて流れない。


心が

ジレンマでいっぱい。

心から

溢れて止まらない。

気持ち。


凍り付いて目の淵で止まった滴が、目に一層光を与えてまぶしい。
 
 
 
 
 
 
 
 
目に映る色。









それは















ピンクだった。















ただ


ひたすら。













ピンク。




























時が止まっているように感じられていたが、チョッパーは約束の時間通りに仲間の元へと行き着いた。
 

心配して、それとも気を遣って?

1人にしたほうがいいと、誰もが悟っていたのだろうか。山の上には誰も登ろうとせず、各々手をこす
 
合わせながらチョッパーの帰りを待っていた。ルフィの手がいやに真っ赤だったのが目に焼きついている。
 
 
 
 
感傷に浸っていた。けれど、クルー達には申し訳ないと思った。
 
他の皆の里帰りとは違う。この極寒の地で、墓参りを終えるのを待つのは。
 
 
 
 
「もういいの?」
 
厚手のコートを着込んだナミが僅かに微笑んで顔を覗き込んだ。
 
「・・・うん、ありがとう。                    行こう。」
 
無言でルフィがマントを大きく翻したのを合図に、全員が踵を返した。
 
 
 
 
 
 
 
胸から溢れ出る
 
 
どうしようもないジレンマ。
 
 
 
 
 
帽子についた
 
 
花びら。
 
 
 
 
 
背中には、
 
 
ドラムロックの影を。
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
誰にも見られないよう、静かに頬を流れた
 
 
 
 
 
涙。


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

ねえ、おれのこと壊して。
 
 


出来ないなら、抱き締めて。


 
 
 
 
 
 

ぬくもりを、わけて。


 
FIN.


 
 
 
 
 
 
ここまでお読み頂き、誠に有難うございました。m(−−)m
 
私としては結構長い作品(作品なの?)になった気がしなくもないのですが、如何でしたでしょうか。私はあまりいっぺんに長いのを読むのより短いのをどんどん
 
読んでいくタイプなんですけどね。(トリビア)そして暗い話。(自供/?)17年後、というのはものすごく適当です。(大☆暴☆露)こう・・その頃にはワンピースを
 
手に入れとるだろうみたいな。(ちょうてきとう。)ルフィとかも素敵な34歳に!(34!!)あ、チョッパーは人型の方をご想像くださいませ。(あとがき)小さいほう
 
のチョッパーって、成長するとどうなるんだろうな〜。(笑)
 
この話は、ワンピースを手にしたあと、それぞれの里帰りをして回っている、という設定なので、まあしようと思えば連作というのも出来るわけですが。(ひとごと)
 
んー、とりあえず自分としてはそのつもりも今のところないので、いつか書く力がわいてきたら書くかもしれないです。(あやふや)そんでもって、この話では出来
 
るだけ“墓参り”という言葉を使いたくなかったのですが、最後にやむをえず・・;;  前半部分で伝えられてるのかなあ。(汗)ご感想など頂ければ小躍りどころ
 
ではなく、キダムにまさる一発芸(キダムは一発芸じゃねえ!)をして喜ぶのですが。(笑)(爆)
 
読んで下さった方、本当に有難うございました!これからも駄文をダラダラと(最悪だ)書き綴って参ろうと思いますので、よろしくおねがいしますね。(^−^)
 
                                                                        03.09.14.管理人Mr.プリンセス

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