知らないフリをするのも、結構疲れる。






















Hide-and-seek

Act.2


















(――――・・・また、会わなくちゃいけないのよね。)











机にうつ伏せになり、まどろんで少し目を開ける。

また閉じる。・・・これの繰り返しだ。2限の授業は終わった。

アイツは辞書を返しにまたやってくるだろう。クラスの子の視線を

かき集めて、その子たちの視線は最後に睨みへと変わってあた

しに注がれる。あたしはその視線が痛くて、感情のまま嬉しく微笑

むことさえ出来ない。








「ナミさん」








・・・来ちゃった。













「悪ィ」、とドアの所に居る2・3人の男子を掻き分けてこちらに

歩いてくる。






長い脚


金色の髪


白い肌


















好きなのに。






















少し俯いて呼吸を整える。その、猶予もくれない。

視界に青い表紙の辞書が入った。さっき貸したやつ。

「これありがとう。助かった。」

「ああ・・・いいわよ、別に。」

会話、続かないんだから早く戻ればいいのに。隣のコの

視線が辛いのよ。いつまでも居座られたら、困る。








あたしが

気不味そうにしていたら。






「サンジ君、もう小テストやった?」

「あァ、今日返された。8割くらいは取れてたよ。」

「すごいねー」

あー・・・会話もってかれちゃった。別にいいけど。その方が

都合が良い。あたしなんかより、その子とくっつけば?

























(―――そんなのイヤ。)

























「・・・・・――。じゃ、おれ行くよ。そろそろチャイム鳴るし」

「またね。」



・・・あ、帰るんだ。帰っちゃうんだ。



広い背中がドアの方へ遠ざかって行く。

長い腕がポケットに収まりきらずに、肘が曲がってる。

見たくないのに見ちゃうんだ。





もうイヤなんだけど。


こんな自分が。





「サンジ君すごいね、小テスト。・・・て、ナミもすごいんだっけ。」

「まあ、ね。」

「うわ、むかつく。・・・―――ねえ、サンジ君と喋っちゃった!」














「サンジくんてナミのこと」


なんて、言っておいて。




そんなことで喜べるくせに。

そういうのが一番苛々するのよ。喋れたことが嬉しいなら何で

彼の気持ちを決め付けるのよ。そんな確証どこにも無いくせに。






















それすら言えない。



















ろくでなし、の




ジレンマの渦。







Next.


7/27
1話から2話まで書き上げるまでにだいぶ時間空いた;;
珍しく(?)ナミさんの方に余裕が無い話。

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